西武鉄道といえば、黄色い電車のイメージが強いものですが、近年は新型車両の導入により急速に数を減らしています。
通勤・通学で、黄色い電車を利用している方も多いのではないでしょうか?
いま現在、西武線の黄色の電車率(黄色率)はどの程度なのかを計算してみたので、紹介いたします。
黄色い電車の概要
西武鉄道では、1969(昭和44)年の101系車両導入から、車体カラーに黄色を採用しました。
長年にわたり、西武鉄道で製造される電車は黄色の車体カラーが採用されており、昭和・平成・令和と、その沿線風景を彩ってきました。
赤電から黄色への変遷、そして青い帯を巻いた電車の登場
1960年代までの西武鉄道では、赤とベージュの「赤電塗装」が標準でしたが、1969年以降1990年代にかけては黄色の電車が数を増やしていきました。
黄色い電車→101系・新101系・301系・2000系・新2000系・3000系・9000系、401系・701系・801系・新501系
しかし、1990年代に入ると青色の帯を巻いたステンレス車体の電車が登場します。
青色の帯を巻いた電車は6000系と呼ばれ、東京メトロ有楽町線の直通運転用として製造されています。
青色の帯を巻いた電車の登場から数年は黄色の電車も製造されましたが、1998年から1999年にかけて作られた9000系電車をもって、黄色い電車の製造は終了しました。
いまも活躍する黄色い電車は、その全てが1990年代までに製造された電車ということになります。
ここまでの大体のまとめ
西武線の電車の色は、おおまかに以下のようにまとめられる
- 1960年代まで:赤電
- 1969年から1990年代:黄色
- 1990年代から:青色・シルバー
黄色い西武電車の割合について
ここからは、2000年代に入ってからの車両の動きと、現在の黄色率について紹介します。
1992年に青色の帯を巻いた6000系がデビューしましたが、その8年後の2000年にデビューした20000系車両も青の帯を巻いた車両でした。
青色の帯を巻いた車両が立て続けに登場したことで、西武電車の色の方向性が変わり始めた時期です。
更に、2008年には30000系、2017年には40000系がデビュー。
これらの電車はグラデーションを用いた外装デザインを採用し、スマイルトレインの斬新なデザインは鉄道ファン以外にも話題になりました。
西武と言えば黄色というイメージは、いよいよ過去のものとなりつつあります。
2024年の黄色率は約2割
2024年4月1日現在、西武鉄道では1221両の電車が走っています。
その内訳は、黄色い電車232両、黄色以外の電車989両となっています。
このことから、2024年における西武線の黄色率は19%であることが分かります。
西武鉄道では、1年におおむね20両から40両程度の新車を導入して古い車両の置き換えを進めています。
このことから、あと数年で黄色の車両が見られなくなることが想像できます。
参考:2010年の黄色率は約5割
ちなみに、遡って2010年のデータを見てみると、黄色率は約5割でした。
内訳は、総数1286両に対して、黄色い電車638両、黄色以外の電車648両です。
2010年の約5割というデータの後に2024年の2割を切る黄色率を見ると、随分と減少したことが分かります。
それでも西武線は黄色というイメージがある
西武鉄道全体で見ても、約2割まで数を減らした黄色い電車ですが、まだまだ黄色のイメージは根強いようです。
終末トレインどこへいく?に登場する黄色い電車
2024年に放映されたアニメ「終末トレインどこへいく?」では、作中に西武線の黄色い電車が登場します。
同作品の水島監督は、以下のようにポストしました。
終末トレインどこへいく?とは・・・
2024年4月から放映されたオリジナルテレビアニメ。作中に西武線の新2000系が登場しており、西武鉄道が全面的に協力しています。
ラビュー001系の座席や内装にも黄色を採用
2019年にデビューした三代目特急車両001系ラビューにも、黄色い電車の意匠が受け継がれています。
斬新な外観に注目されることの多いラビューですが、内装には黄色がメインカラーとして採用されており、これまでの西武線のイメージを引き継いでいます。
ラビューのデザイン監修をした妹島和世氏は「西武線といえばこの色」と語り、西武鉄道も「西武線の車両としてなじみのある黄色」として、黄色の内装色を採用しました。
西武線の黄色い電車はいつまで走る?
西武鉄道では、黄色い電車の置き換えとして2029年度にかけて他社の中古車両(サステナ車両)を導入します。
サステナ車両は2029年度にかけて導入が予定されているため、これと置き換わる形で、おおむね2030年前後には黄色い電車が見れなくなる見込みです。
復刻塗装や特別塗装に積極的な西武鉄道
しかし、残念な話題ばかりではありません。
西武鉄道では、2024年現在、数多くの復刻塗装列車や特別塗装列車が運転されています。
黄色より一世代前の赤電復刻塗装電車や、更に遡った茶色の電車、旧2色塗りの電車など、時代を横断した色とりどりの列車が走行しています
これらの事例を鑑みると、黄色い電車が引退した後も、黄色の復刻塗装車を運行する可能性は高いと言えるでしょう。
黄色の復刻塗装車の運行が、2030年代になるのか、2040年代になるのか、はたまたもっと未来の話なのかは分かりませんが、ぜひ楽しみにしておきたいものです。
黄色い電車の今後と、変わりゆく西武鉄道の沿線風景
西武鉄道の黄色い電車は、1969年から50年以上にわたり沿線を彩ってきました。
しかし、青色の帯を巻いた電車の登場や新型車両の導入により、その数は年々減少しています。
2024年現在では、西武線全体の約2割しか黄色い電車は残っておらず、2010年の約5割と比較してもその減少は顕著です。
黄色い電車は、西武鉄道の象徴として親しまれてきましたが、徐々に世代交代の時期が近付いてきました。
かつて、黄色い電車が赤電を置き換えたように、黄色い電車が置き換えられる未来も、すぐそこに迫っています。
近年の動きでは、小田急電鉄と東急電鉄から中古の車両(サステナ車両)を導入し、残る黄色い電車を置き換える計画も発表されました。
置き換えは2029年度にかけて行われる予定で、黄色い電車が走る風景が見られるのも、残り僅かであることが分かります。
黄色い電車が走る風景を見られるのも、2020年代の残り数年となりました。
ぜひ沿線を訪れて、その姿を楽しんでみてください。
まとめ:2030年までに黄色い電車が走る風景を楽しもう
西武鉄道の黄色率について紹介しました。
- 西武鉄道の2024年の黄色い電車の割合は約2割である
- 2010年と比較して黄色率は約5割から約2割に変化した
- 2030年頃に黄色い電車は引退する見込みである
- 引退後の復刻塗装には強い期待が持てる
ということが分かりました。
参考:黄色率算出に用いたデータと編成表
2010年の黄色率の内訳
A | B | C | D | E | F | G | I | J | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2010/12/14 | 黄色い車両の数 | |||||||
2 | 形式 | 両数 | 編成数 | 総数 | 編成数 | 総数 | 編成番号 | ||
3 | 101 | 2 | 両 | 5 | 10 | 5 | 10 | 271 281 285 287 295 | |
4 | 4 | 両 | 11 | 44 | 7 | 28 | 239-245 257-263(247-253は白) | ||
5 | 301 | 8 | 両 | 4 | 32 | 4 | 32 | 301 303 309 311 | |
6 | 2000 | 2 | 両 | 9 | 18 | 9 | 18 | 2401-2413 2417 2419 | |
7 | 6 | 両 | 12 | 72 | 12 | 72 | 2009-2033(2017欠番) | ||
8 | 8 | 両 | 4 | 32 | 4 | 32 | 2001-2007 | ||
9 | n2000 | 2 | 両 | 8 | 16 | 8 | 16 | 2451-2465 | |
10 | 4 | 両 | 23 | 92 | 23 | 92 | 2501-2545 | ||
11 | 6 | 両 | 5 | 30 | 5 | 30 | 2045-2053 | ||
12 | 8 | 両 | 22 | 176 | 22 | 176 | 2055-2097 | ||
13 | 3000 | 8 | 両 | 7 | 56 | 5 | 40 | 3001 3003 3009 3013 3017(3011は999 3015はL-train) | |
14 | 6 | 両 | 2 | 12 | 2 | 12 | 3005 3007 | ||
15 | 4000 | 4 | 両 | 12 | 48 | 0 | 0 | ||
16 | 6000 | 10 | 両 | 25 | 250 | 0 | 0 | ||
17 | 8500 | 4 | 両 | 3 | 12 | 0 | 0 | ||
18 | 9000 | 10 | 両 | 8 | 80 | 8 | 80 | 9101-9108 | |
19 | 10000 | 7 | 両 | 12 | 84 | 0 | 0 | ||
20 | 20000 | 8 | 両 | 8 | 64 | 0 | 0 | ||
21 | 10 | 両 | 8 | 80 | 0 | 0 | |||
22 | 30000 | 2 | 両 | 3 | 6 | 0 | 0 | ||
23 | 8 | 両 | 9 | 72 | 0 | 0 | |||
24 | 10 | 両 | 0 | 0 | 0 | 0 | 登場前 | ||
25 | 40000 | 10 | 両 | 0 | 0 | 0 | 0 | 登場前 | |
26 | 001 | 8 | 両 | 0 | 0 | 0 | 0 | 登場前 | |
27 | 1286 | 638 | 49.61% | ||||||
28 | 2010.12 |
2024年の黄色率の内訳
A | B | C | D | E | F | G | I | J | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2024/4/1 | 黄色い車両の数 | |||||||
2 | 形式 | 両数 | 編成数 | 総数 | 編成数 | 総数 | 編成番号 | ||
3 | 101 | 4 | 両 | 7 | 28 | 3 | 12 | 245 249 263 | |
4 | 2000 | 2 | 両 | 2 | 4 | 2 | 4 | 2417 2419 | |
5 | 6 | 両 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||
6 | 8 | 両 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||
7 | n2000 | 2 | 両 | 8 | 16 | 8 | 16 | 2451-2465 | |
8 | 4 | 両 | 12 | 48 | 12 | 48 | 2507 2523-2527 2531-2545 | ||
9 | 6 | 両 | 6 | 36 | 6 | 36 | 2047-2053 2077 2081 | ||
10 | 8 | 両 | 14 | 112 | 13 | 104 | 2055 2065 2071-2075 2079 2083-2095 | ||
11 | 4000 | 4 | 両 | 11 | 44 | 0 | 0 | ||
12 | 6000 | 10 | 両 | 25 | 250 | 0 | 0 | ||
13 | 8500 | 4 | 両 | 3 | 12 | 0 | 0 | ||
14 | 9000 | 4 | 両 | 5 | 20 | 3 | 12 | 9102 9104 9105 | |
15 | 10000 | 7 | 両 | 5 | 35 | 0 | 0 | ||
16 | 20000 | 8 | 両 | 8 | 64 | 0 | 0 | ||
17 | 10 | 両 | 8 | 80 | 0 | 0 | |||
18 | 30000 | 2 | 両 | 6 | 12 | 0 | 0 | ||
19 | 8 | 両 | 18 | 144 | 0 | 0 | |||
20 | 10 | 両 | 6 | 60 | 0 | 0 | |||
21 | 40000 | 10 | 両 | 20 | 200 | 0 | 0 | ||
22 | 001 | 8 | 両 | 7 | 56 | 0 | 0 | ||
23 | 1221 | 232 | 19.00% | ||||||
24 | 2024.4 |
データ参照:鉄道ダイヤ情報2011年2月号