- 土休日ダイヤの西武線~秩父鉄道直通電車
- 下りは横瀬駅で分割(切り離し)、上りは横瀬駅で併合(連結)を行う
- 上りの連結の様子と西武秩父駅の配線について詳しく紹介
西武線と秩父鉄道を直通する列車を紹介します。
土休日ダイヤの西武線と秩父鉄道には、乗り換えのいらない直通電車が運転されています。
運転本数は、朝の下り2本と夕方の上り2本。いずれの列車も西武線内は8両で運転されますが、秩父鉄道線内では上下別方向の駅に発着するので、4両ずつ行き先が分かれます。
このため、西武線横瀬駅で列車の切り離し(長瀞行き4両・三峰口行き4両)と連結(飯能行き8両)が行われます。
秩父鉄道と西武線の飯能行き直通電車を西武秩父駅で観察してみた
秩父鉄道から西武線へ直通する列車は、三峰口発の4両編成と、長瀞発の4両編成が西武線横瀬駅で連結して飯能駅に向かう列車です。
列車の動きや連結の様子を紹介する前に、西武秩父駅と秩父鉄道連絡線の配線を知っておくことで、理解が非常にスムースに進みますので紹介します。
西武秩父駅の秩父鉄道連絡線とポイント・配線
こちらが西武線の西武秩父駅。
中央の複雑なポイントを境にして、西武秩父のホームへ到着する線路と秩父鉄道へ直通する線路が左へ伸びており、複雑な配線となっています。
これを文字で説明するのは難しいので図解します。以下の通りです。
ポイントを境にして、中央奥から右手奥に延びる3本の線路が西武秩父駅。
手前側、右手に延びる線路が西武秩父線飯能方面。
手前側、左手に延びるのが、秩父鉄道連絡線の三峰口方面。
奥側、左手に延びるのが、秩父鉄道連絡線の長瀞方面となります。
同じ場所から西武秩父駅を背中にして逆側を見てみましょう。
左手が西武秩父線飯能方面。
真ん中が秩父鉄道連絡線三峰口方面。
右手が秩父鉄道本線三峰口方面となります。
三峰口駅から飯能へ到着する西武4000系
では、これらの配線をどのように活用して西武鉄道と秩父鉄道の直通列車は運転されているのでしょうか。
まずは、秩父鉄道三峰口駅から直通する列車の動きを見てみましょう。
三峰口から運転される西武線直通列車(飯能行き)は、図示した通りの経路で一旦西武秩父駅に到着します。
進行方向を変えて西武線横瀬駅で連結後、飯能方面に向かいます。
西武線の飯能駅でも見られる「スイッチバック」を行うというわけです。
長瀞駅から飯能へ直通する西武4000系
長瀞から運転される西武線直通列車(飯能行き)は、図示した通りの経路で、西武秩父駅の横をかすめて隣の横瀬駅に向かいます。
長瀞方面から合流する秩父鉄道連絡線は、西武秩父駅のホーム手前にポイントがあるため、同駅に停車することが出来ません。
このため、秩父鉄道の御花畑駅を出発すると、次は西武線の横瀬駅に停車するというわけです。
長瀞方面の秩父鉄道直通列車は、なぜ西武秩父駅に停車しないのか
西武線と秩父鉄道を直通する列車でも、長瀞方面の直通列車が西武秩父駅に停車しない謎は、このような線路配置が理由でした。
下り列車も同様に、横瀬駅を出発した長瀞行きの次の停車駅は、西武線西武秩父駅ではなく秩父鉄道御花畑駅となります。
横瀬駅で連結する秩父鉄道直通列車の前面展望
実際に直通列車に乗りましたので、横瀬駅の連結の様子を紹介します。
乗車したのは秩父鉄道三峰口駅から西武秩父駅に到着した飯能行き4両編成の電車。
進行方向を変えて、飯能駅を目指す列車です。
西武秩父駅停車中には、この先の横瀬駅で連結相手となる「長瀞発飯能行き」が連絡線を駆け上がっていく様子も見られました。
出発信号機は「西武」側が青信号を現示しており、横瀬方面に進みます。
西武秩父駅に設置されたダブルスリップポイントをすり抜けて、左手奥に向かう勾配を駆け上がります。
西武秩父から横瀬間は、所要3分ほど。程なくして、横瀬駅構内が見えてきました。
黄色の注意信号(55km/h以下)が現示されているのが見えます。
その先は停止信号となり、電車は一旦停止しますが、連結に関するアナウンスの後、電車は徐行で再び動き出します。
なお、この電車は西武秩父から横瀬間をワンマン運転するため、アナウンスは運転士さんが行います。
西武線横瀬駅の誘導信号機
第2場内信号機は停止ですが、信号機直下の誘導信号機が進行を現示しているため、赤信号を越えて電車の運行が可能となります。
連結後、飯能まではツーマン運転を行う為、この駅から乗り込む車掌さんの姿がホーム上に見えます。
横瀬駅進入後は、徐行で進行し、程なくして連結相手の列車が間近に迫ります。
複数回の停車ののち、秩父鉄道直通列車は横瀬駅で連結を完了。連結時独特の衝動を体験した瞬間は懐かしい感覚を覚えます。
西武線上で営業列車が連結する機会は、2000年頃と比較すると非常に少なくなりました。
西武線横瀬駅の移動禁止合図器
列車の分割併合時に移動を禁止する合図を送るのが「移動禁止合図器」です。
西武線上では、横瀬駅のほか西武秩父駅や飯能駅などで見ることが出来ます。
連結後は速やかに運転席の整備を行い、出発に向けた準備が進められます。
運転士さんより準備が整った旨が、横瀬の駅員さんに伝えられると、移動禁止合図器の表示が切り替わります。
こちらの移動禁止合図器の「白」点灯を持って、列車は進行可能となりました。
秩父鉄道から4両ずつで西武線横瀬駅へ到着する列車は、このような連結作業を行い、8両編成で終着の飯能駅を目指します。
秩父鉄道直通列車の連結の様子をまとめてみた感想
秩父鉄道から西武線へ直通する列車の動きをまとめてみました。
- 西武秩父駅界隈の複雑な連絡線の仕組み
- 横瀬駅で連結と切り離しを行う際の信号機などの構造物
- 連結時の前面展望はちょっとした非日常
ということが分かりました。
西武線と秩父鉄道を直通する列車は、平日の運行は無くなってしまったので、これらの様子を見ることが出来るのは土休日ダイヤに限られます。
これらの直通列車は年々削減される傾向があるので、健在である今のうちに楽しむのがよさそうです。