大井川鐵道本線の終着駅である千頭駅では機関車を前後に付け替える、
いわゆる「入換」という作業を間近に見ることが出来ます。
今回、ELかわね路号千頭行きは、E31形重連の牽引によって運行を行っており
再び、新金谷行きのELかわね路号として、千頭から折り返す運行が組まれています。
当記事では、往路到着から復路出発までの2時間弱、千頭駅におけるE31形入換の姿に迫ります。
※「単機」で運転される場合や、別途構内都合が発生する際はこの限りではございません。
あくまで当日の一例として、当記事をご覧くださいますようお願いいたします。
当日の走行シーンは別記事にて紹介しています。
入換前のELかわね路号 E31形の様子
千頭駅に到着したELかわね路号(西武EL E31形重連牽引)
千頭駅の到着は13:09となっており、到着後は暫くそのまま留置の状態が続きます。
その間に、各機関車の様子を眺めてみます。
側面から見る印象について社紋の撤去が目に付くところです。
屋根上のL字型の列車無線も無いのが、言われてみて気付くところです。
なんといってもパンタの上げ方は、やはり気にかかるところ。
- 西武時代のパンタの上げ方 【重連単機】 ◇_ + _◇ →進行方向
【重連牽引】 ◇_ + ◇◇ →進行方向
千頭駅名標、9年前との対比
大井川鐵道譲渡から1年も経たない頃に、千頭駅を訪問したことがありました。
当時は、まだ全く動きもなく、スカートも無い状態で
三重連で千頭駅構内に留置されている姿を記録しています。
写真に写るE33号機は、連結器回りも西武時代のままでしょうか。
この頃を思うと、無事にこうして営業運行に就いている姿は
随分と頼もしく見えてくるものです。
ELかわね路号の客車を眺める
2020/9/12のELかわね路号の組成は以下の通りでした。
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新金谷← [オハ35 435][オハ35 55][オハフ33 469] →千頭
編成最後部には、かわいいヘッドマークも付いていました。
大井川鐵道のコロナ対策
昨今の情勢ですので、新型ウイルスに対する各社の施策は注目されてしまいますが
大井川鐵道の対応は、きちんと、丁寧に実施されていました。
往路の到着後、入換までに全車両・全座席、窓サッシを含めて消毒と拭き掃除を終えています。
非常にしっかりと対応を行っている印象を持ちました。
入換中のELかわね路号 E31形の様子
13:35 3番ホームで入換開始
組成は前から、E33、E32、客車の順となっており
先頭のE33が単機で前進、小移動を行います。
後に、切り落とされたE32と客車の編成は、そのまま後退。
構内中ほどにあるポイント(渡り線)を干渉しない位置まで後退します。
13:40 E33号機 2番ホームへ転線
ポイントを渡り、E33が2番ホームへ転線しました。
なお、即座にポイントは転換されており、その速度は本当に瞬間的なものでした。
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入換の流れるような挙動は、西武時代の工臨の入換を思い起こすと
比較にはならない程のスピード感がありました。
(念のためですが、早いからいい、遅いから悪いという意味ではありません。)
晩年の横瀬発1804レで置き換えると、無線のやり取り含めて11番から10番への入換の間に
大井川鐵道であれば一連の入換が完了しているような印象です。
その後、E33はエンドを入れ替えて、2番ホームストップ方に歩みを進め、
渡り線を支障しない位置まで前進の後、ひと休みとなります。
13:43 E32号機、3番ホームストップ方へ入換開始
この位置からだと陰で見えないのですが
3番ホームで待機していたE32号機と客車の編成は、連結を切ってE32単機で入換を開始します。
先ほどの動きと同様に、3番ホームストップ方から渡り線を進み
2番ホーム中ほどにて停止、後方からE33が連結するのを待ちます。
13:45 2番ホーム中ほどにて連結 E31形の重単を組成
3番ホームからポイントを渡り、2番ホーム中ほどまで進行したE32はホーム中ほどで停止しており
2番ホームストップ方で、ひと休みしていたE33が、ホーム中ほどへ向けて小移動します。
そのまま2番ホーム中ほどで連結作業となり、重単を組成しました。
- 構内ストップ方の有効長の関係で、動きに制約が発生しているよう見受けられました。
13:47 金谷方へ重単で入換開始
2番ホーム中ほどでの連結を終えると、
3番ホームで待機する客車の、金谷方に機関車を連結するため、重単で移動を開始します。
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この重単で構内を忙しなく行き交う様子は、正に西武時代の姿そのものでした。
上記写真の撮影直後は、目の前を重単が通過するのですが
それは非常に懐かしい雰囲気に見舞われてしまいました。
- 入換の一番の見どころ:重単での走行シーン!
13:51 金谷方からポイントを渡り3番ホームへ
入換も終盤に差し掛かってまいりました。
金谷方へ進出した重単は、ポイントを3番ホーム方面へ切り替えて
いよいよ客車との連結となります。
13:52 E31形重連の客車との連結完了
程なくして客車と連結し、復路用のELかわね路号の組成が完了しました。
この時のみ、短い時間ながらパンタが「前パン」の状態となっていました。
(日によって異なるようです)
13:55 E31形重連客車3両を3番ホームストップ方へ小移動
客車最後部をストップ方停目に合わせてるまで小移動をします。
所定停止位置まで移動の後、入換完了となります。
概ね20分の間でしたが、目の前を何度も往復する機関車の姿に始まり、
重単の組成、客車編成の組成に至るまでさまざまな姿を見ることが出来ました。
西武時代の横瀬や武蔵丘の入換とは、一味違う雰囲気と
なんといっても距離感でしょうか。
間近で行われる入換は、E31形のさまざまな音が臨場感を持って伝わる、迫力のある姿でした。
- ELかわね路号は9月中の指定日に運転されます。
大井川鐵道へお出かけの際には、ぜひ千頭駅の入換を観察してみてください。
→ 大井川鐵道公式HP
千頭駅でのELかわね路号E31形の動き【西武EL Z入換】の動画
千頭駅でのELかわね路号E31形の動き【西武EL Z入換】のまとめ
- ELかわね路号の西武EL重連牽引では、折り返しの千頭駅での入換が非常に魅力的
- 単機・重単・客車組成、さまざまな姿を見ることが出来る
- 入換は非常に手際よく、効率的に行われるため、目が離せない瞬間が多い
- 西武の引退から10年経った今も、E31形の活躍は大井川鐵道で続いている
使用した機材
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大井川鐵道のかわね路号の展望ビデオが2020/9/21に発売されるようです。
→大井川鐵道 SL 前方展望 ブルーレイ版 新金谷 → 千頭 [Blu-ray]