池袋や西武新宿を起点とする路線を持つ西武鉄道ですが、2023年春より”鉄道駅バリアフリー料金制度”を活用することを発表しました。関東各社の状況と比較しつつ、その概要と値上げ幅を探ります。
鉄道バリアフリー料金制度の概要
国土交通省は、第2次交通政策基本計画(2021年5月閣議決定)において示された方向性に基づき、鉄道駅におけるエレベーターやホームドア整備など、バリアフリー化の目標達成に向けて以下のような方向性を示しました。
鉄道駅のバリアフリー化の推進は、エレベーターやエスカレーター、ホームドア等の整備を通じ、高齢者や障害者だけでなく、全ての利用者が受益するとの観点から、(1)都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築するとともに、(2)地方部において既存の支援措置を重点化することにより、従来を大幅に上回るペースで全国の鉄道施設のバリアフリー化を加速する。
引用:国土交通省ホームページ
これにより、”鉄道利用者に薄く広く費用を負担させる制度”の創設と、”地方部における補助率を拡充する”方向性が示されています。
西武鉄道のバリアフリー料金制度の活用の概要
西武鉄道では、2022年5月12日に以下のようなニュースリリースを行いました。
鉄道駅バリアフリー料金制度を活用しバリアフリー設備の整備を加速します
西武鉄道は、これまでも池袋駅などの利用者数10万人以上の6駅にホームドアを整備する等、駅設備のバリアフリー化を進めてきました。
今後は、この制度を2023年春から活用することで、より一層バリアフリー設備の拡充を図るとしています。
西武鉄道のバリアフリー料金制度導入による運賃の値上げ幅は?
2022年5月12日に発表されたリリースによると、値上げ幅については言及されていません。
このため、リリース時における値上げ幅は不明となっています。
料金設定や整備計画などの詳細については、同制度に基づき、国へ整備等計画を届出する際にお知らせします。
引用:西武鉄道公式ホームページ
鉄道各社のバリアフリー料金制度導入による値上げ幅について調べてみた
値上げ幅が明示されていない西武鉄道のバリアフリー料金制度ですが、他の鉄道各社はどうなっているのでしょうか。
各社の状況を説明しつつ、最後に一覧表で紹介します。
JR東日本のバリアフリー料金制度導入による値上げ幅
JR東日本では2023年3月から、東京の電車特定区間のみを利用する場合を対象に、以下の通り料金を加算する予定です。
普通旅客運賃:IC10円、きっぷ10円
定期旅客運賃:1カ月280円、3カ月790円、6カ月1420円
徴収期間は、2036年3月までとされており、以降も継続予定。
東京メトロのバリアフリー料金制度導入による値上げ幅
東京メトロでは2023年3月から、全路線の利用者を対象に、以下の通り料金を加算する予定です。
定期外:IC10円、きっぷ10円
定期:1カ月370円、3カ月1050円または1060円、6カ月1990円または2000円
徴収期間は、2030年9月までとされており、以降については検討予定。
東武鉄道のバリアフリー料金制度導入による値上げ幅
東武鉄道では2023年春から、バリアフリー料金制度を導入する予定ですが詳細は発表されていません。
詳細につきましては、「鉄道駅バリアフリー料金制度」について国へ整備等計画を届出する際にお知らせいたします。
引用:東武鉄道ホームページ
東急電鉄の2023年3月の運賃改定値上げ幅
東急電鉄では2023年3月から、運賃の改定を予定しています。
これは、バリアフリー料金制度を活用したものではありませんが合わせて紹介します。
改定率…12.9%
普通運賃:初乗り運賃は10円程度(IC126円→140円、きっぷ130円→140円)
定期旅客運賃:改定率と同程度
2023年春に予定されている鉄道各社の運賃改定や値上げについて一覧表で比較してみた
いつから | 値上げ幅 (普通運賃) | 値上げ幅 (定期運賃) | 通学定期の値上げ | 区間 | いつまで | リリース発表日 | |
西武鉄道 | 2023年春 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | 2022.5.12 |
JR東日本 | 2023年3月 | IC10円、きっぷ10円 | 1カ月280円 3カ月790円 6カ月1420円 | なし | 東京近郊の電車特定区間 | 2036年3月まで | 2022.4.5 |
東京メトロ | 2023年3月 | IC10円、きっぷ10円 | 1カ月370円 3カ月1050円または1060円 6カ月1990円または2000円 | なし | 全路線 | 2030年9月まで | 2022.4.25 |
東武鉄道 | 2023年春 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | 2022.4.28 |
東急電鉄 | 2023年3月 | 初乗り運賃は10円程度 (IC126円→140円 きっぷ130円→140円) | 改定率と同程度の12.9% | なし | こどもの国線を除く路線 | 恒久的な運賃改定 | 2022.1.7 |
一覧表にまとめてみて思うこと
- 各社の値上げタイミングは足並みをそろえて2023年3月?
- 1回の乗車で10円程度の値上げか?(東急除く)
- 通学定期は各社とも据え置きそう?
- この先、値下げされることはなんとなく無さそう…?
鉄道各社の値上げ幅についてまとめてみた感想
バリアフリー制度活用による西武鉄道の運賃値上げについて書きました。
- 2023年3月に西武鉄道では制度を利用した運賃値上げを予定している
- 値上げ幅は、各社の動向から概ね10円程度と予想される
- 通勤定期も値上げが予想されるが、通学定期は据え置きされるかもしれない
ということが分かりました。
西武鉄道では2022年7月より乗車ポイントサービスを開始する予定となっています。
未来の値上げ分は、いまのうちにポイントサービスで取り返しておくのが賢明かもしれません。
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