西武ホールディングスは、2023年度以降にサステナ車両(中古車両)を導入し、従来の黄色い電車を置き換える計画を発表しました。西武鉄道で活躍する車両の内訳がどのように推移していくのか想像してみます。
西武鉄道のサステナ車両導入について
2023年度以降に導入が予定されているサステナ車両は、他者から譲受した中古車両を西武線で運用するというもの。
中古車両を地方私鉄へ送り出す側であった西武鉄道が、他社から中古車両を受け入れることは異例の事態と言えるでしょう。
サステナ車両についてはこちらの記事で詳しく
→西武鉄道サステナ中古車両導入の話題まとめ
2022年度は40000系30両を新造、サステナ車両を導入する予定は無し
衝撃的な「サステナ車両」の話題でしたが、実際の導入は2023年度以降。
2022年度は、従来通り40000系30両の新造を予定しています。
普通に考えれば、「30両新車」→「30両廃車」となるところですが、2022年度の車両計画は大きく予想を裏切るものでした。
2022年度末の西武鉄道保有車両数は1227両を予定
西武ホールディングスの資料によると、2022年度末の西武鉄道車両数は1227両を予定しています。
これは2021年度比で「マイナス40両」となる数字。
導入される40000系30両の分を考慮すると、従来車両70両が2022年度に姿を消す計算になります。
- 2021年度末の車両数は1267両
- 2022年度の新造車両は40000系30両(→純増なら1297両)
- 2022年度末の車両数は、1227両を予定
- 差分となる70両が廃車される見込み
2022年度は既に2000系2007F(8両)が廃車済み
多くの注目を集めた2007Fの引退ツアー。
2022年度の廃車第1号として、ツアー客を乗せたまま横瀬へ向かった姿は記憶に新しいところです。
→さようなら2007F横瀬行きラストランツアー列車の撮影レポ
これにより、2022年度の廃車予定70両の内、8両がすでに廃車されたことになります。
次の廃車はどの編成?西武鉄道に在籍する電車を古い順に並べてみた
2022年度は70両の廃車予定で、既に8両が廃車されています。
では、今後廃車になるのはどの編成なのでしょうか。
そこで、西武線で運用される車両を竣工日順で一覧表にしてみました。
※かなり長い一覧表のためPC推奨です
形式 | 編成 | 両数 | 竣工日 | 運用線区 | 備考 |
2000 | 2027F | 6両 | 1979.5.18 | 新宿線系統 | 3色LED |
2000 | 2409F | 2両 | 2409…1983.6.13 2410…1979.9.4 | 新宿線系統 | |
2000 | 2413F | 2両 | 2413…1983.7.13 2414…1979.10.30 | 新宿線系統 | 3色LED |
新101 | 1241F | 4両 | 1979.12.20 | 狭山線・多摩川線 | 伊豆箱根カラー |
新101 | 1245F | 4両 | 1980.4.1 | 狭山線・多摩川線 | ツートンカラー |
新101 | 1247F | 4両 | 1980.4.1 | 狭山線・多摩川線 | 赤電カラー |
新101 | 1249F | 4両 | 1980.4.1 | 狭山線・多摩川線 | ツートンカラー |
新101 | 1251F | 4両 | 1980.4.1 | 狭山線・多摩川線 | 近江鉄道カラー |
新101 | 1253F | 4両 | 1980.4.1 | 狭山線・多摩川線 | 赤電カラー |
新101 | 263F | 4両 | 263・266…1982.12.9 264・265…1980.6.3 | 狭山線・多摩川線 | 元279F…1982.12.9 元255F…1980.6.3 |
2000 | 2403F | 2両 | 1983.3.1 | 新宿線系統 | 幕車 |
2000 | 2405F | 2両 | 1983.4.7 | 新宿線系統 | |
8500 | 8501F | 4両 | 1985.1.31 | 山口線 | |
8500 | 8511F | 4両 | 1985.3.18 | 山口線 | |
8500 | 8521F | 4両 | 1985.4.1 | 山口線 | |
2000 | 2031F | 6両 | 1987.8.21 | 新宿線系統 | 田無事故補充 |
2000 | 2033F | 6両 | 1988.1.6 | 新宿線系統 | 田無事故補充 |
2000 | 2417F | 2両 | 1988.3.15 | 新宿線系統 | 田無事故補充 |
新2000 | 2501F | 4両 | 1988.3.26 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2503F | 4両 | 1988.3.30 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2505F | 4両 | 1988.3.31 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2507F | 4両 | 1988.3.31 | 新宿線系統 | |
2000 | 2419F | 2両 | 1988.4.18 | 新宿線系統 | 田無事故補充 |
新2000 | 2451F | 2両 | 1988.5.17 | 新宿線系統 | 2連小窓車 |
新2000 | 2051F | 6両 | 1988.5.19 | 新宿線系統 | 6連小窓車 |
新2000 | 2509F | 4両 | 1988.5.26 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2511F | 4両 | 1988.5.26 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2513F | 4両 | 1988.6.2 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2515F | 4両 | 1988.6.2 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2517F | 4両 | 1988.6.9 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2519F | 4両 | 1988.6.9 | 新宿線系統 | 2022.2.9廃車回送 |
新2000 | 2053F | 6両 | 1988.9.22 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2521F | 4両 | 1988.10.20 | 新宿線系統 | 2022.3.22廃車回送 |
新2000 | 2523F | 4両 | 1988.10.20 | 新宿線系統 | |
4000 | 4001F | 4両 | 1988.11.4 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4003F | 4両 | 1988.11.4 | 西武秩父線系統 | |
新2000 | 2525F | 4両 | 1988.11.10 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2527F | 4両 | 1988.11.10 | 新宿線系統 | |
4000 | 4005F | 4両 | 1988.11.18 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4007F | 4両 | 1988.11.18 | 西武秩父線系統 | |
新2000 | 2453F | 4両 | 1988.11.24 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2529F | 4両 | 1988.11.24 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2045F | 6両 | 1989.1.20 | 新宿線系統 | |
4000 | 4009F | 4両 | 1989.3.23 | 西武秩父線系統 | 52席の至福52型 |
4000 | 4011F | 4両 | 1989.3.23 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4013F | 4両 | 1989.3.30 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4015F | 4両 | 1989.3.30 | 西武秩父線系統 | |
新2000 | 2057F | 8両 | 1989.3.31 1989.5.25 | 新宿線系統 | 幕車 |
新2000 | 2059F | 8両 | 1989.8.21 1989.11.7 | 新宿線系統 | ひし形 |
新2000 | 2531F | 4両 | 1989.9.21 | 新宿線系統 | フルカラーLED |
新2000 | 2533F | 4両 | 1989.9.21 | 新宿線系統 | フルカラーLED |
新2000 | 2535F | 4両 | 1989.10.5 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2537F | 4両 | 1989.10.5 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2539F | 4両 | 1989.10.19 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2541F | 4両 | 1989.10.19 | 新宿線系統 | シングルアーム |
新2000 | 2543F | 4両 | 1990.3.14 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2545F | 4両 | 1990.3.14 | 新宿線系統 | シングルアーム |
新2000 | 2061F | 8両 | 1990.1.27 1990.3.30 | 新宿線系統 | 幕車 |
新2000 | 2063F | 8両 | 1990.3.30 | 池袋線系統 | 2021.11.2廃車回送 |
新2000 | 2065F | 8両 | 1990.7.13 1990.10.3 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2047F | 6両 | 1990.9.28 | 新宿線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2455F | 2両 | 1990.9.28 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2049F | 6両 | 1990.10.12 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2457F | 2両 | 1990.10.12 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2459F | 2両 | 1990.11.30 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2461F | 2両 | 1990.11.30 | 池袋線系統 | |
新2000 | 2463F | 2両 | 1990.11.30 | 池袋線系統 | |
新2000 | 2465F | 2両 | 1990.11.30 | 池袋線系統 | |
新2000 | 2067F | 8両 | 1990.12.21 1991.3.21 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2069F | 8両 | 1991.1.25 | 池袋線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2071F | 8両 | 1991.2.1 | 池袋線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2073F | 8両 | 1991.7.18 1991.9.24 | 池袋線系統 | |
新2000 | 2075F | 8両 | 1991.12.12 1992.3.17 | 池袋線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2077F | 8両 | 1991.6.14 | 池袋線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2079F | 8両 | 1991.6.28 | 池袋線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2081F | 8両 | 1991.7.5 | 新宿線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2083F | 8両 | 1991.11.7 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2085F | 8両 | 1991.11.8 | 池袋線系統 | |
6000 | 6101F | 10両 | 1992.1.24 | 新宿線系統 | |
6000 | 6102F | 10両 | 1992.4.8 | 新宿線系統 | |
新2000 | 2087F | 8両 | 1992.5.8 | 池袋線系統 | ひし形 |
新2000 | 2089F | 8両 | 1992.5.22 | 池袋線系統 | |
新2000 | 2091F | 8両 | 1992.6.5 | 池袋線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2097F | 8両 | 1992.6.29 1992.9.29 | 池袋線系統 | 2016.9.27廃車回送 |
新2000 | 2093F | 8両 | 1992.7.17 | 新宿線系統 | 東急更新編成 |
新2000 | 2095F | 8両 | 1992.7.31 | 池袋線系統 | |
4000 | 4017F | 4両 | 1992.10.2 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4019F | 4両 | 1992.10.2 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4021F | 4両 | 1992.10.30 | 西武秩父線系統 | |
4000 | 4023F | 4両 | 1992.10.30 | 西武秩父線系統 | |
新2000 | 2055F | 8両 | 1992.12.25 1993.3.25 | 新宿線系統 | 東急更新編成 |
(おおむね1979年から1990年頃にかけて、新101・2000・新2000・8500・4000、6000系の一部)
一番古い電車は「黄色の電車」2000系
2022年5月現在、西武線で運用される最も古い車両は2000系の2027Fです。
2027Fは新宿線系統で活躍する6両編成の2000系。
残り少なくなった3色LEDの行き先表示器を備える編成でもあります。
(撮影時のシャッター速度目安は1/125以下)
2027Fは2003年7月に武蔵丘車両検修場を出場しており、2000系として初めて車いすスペースが設けられた編成です。
(当時はこれが珍しい姿であり、「2000系が近代化した」と思ったものです。)
その次に古いのが2両編成2409Fの下り方2410号車。
2409Fは編成組み換えにより、前後で製造されたタイミングが異なります。
3番目が、同じく編成組み換えを行っている2両の2413F、下り方の2414号車。
2027Fと同様に3色LEDの行き先表示器を備えています。
2413Fは、2連の中でも初期に更新された編成であり、更新後もひし形パンタを載せていた時期があります。(ひし形パンタは2411Fも同様)
また、2413Fは最後までAK-3コンプレッサーを搭載するなど、何かと特徴のある編成でした。(現在は換装済み)
次に古いのが新101系の1241F伊豆箱根カラー、ここで順番が入れ替わって、ようやく新101系が出てきました。
西武鉄道の廃車される編成は「古い」だけが理由ではない
製造年次の古い順で車両を紹介してきました。
しかし、西武鉄道における廃車は、古い車両から順番に進まない場合もあります。
その一例がこちらの3000系。1983年から1987年にかけて製造された3ドア8両編固定の電車です。
新101系より経年の浅い3000系でしたが、同じ3ドアでありながら8両固定のチョッパ制御という仕様が災いしたのか、2014年までに全車両が廃車となっています。
新101系や2000系より10年以上も短い、おおよそ30年ほどの活躍でした。
1993年から1999年にかけて製造された10両固定の9000系も同様。
一部編成は多摩湖線で活躍を続けていますが、3本が編成単位で廃車されています。(9101F・9106F・9107F)
1997年~1998年にかけて製造された9107Fについては、2018年3月に廃車。
約20年という運用期間は、あまりに短いものでした。
2000系は田無事故補充の4編成が最後まで残りそう
2000系は、1986年の田無事故による廃車発生の代替で、2031F・2033F・2417F・2419Fの4編成を追加で製造しています。
この4編成は、既存の2000系とは異なり、新2000系の特徴も有する編成。
2000系グループの中では最後まで残る編成となるでしょう。
新2000系は更新工事を受けた編成が最後まで残りそう
新2000系は大規模な更新を行った編成が存在しており、こちらが最後まで残る編成となるでしょう。
逆に言えば、「戸袋窓が残存」していたり、「ひし形パンタ」や「幕式の行き先表示器」を備える編成は、比較的早期に廃車される可能性があります。
更新工事を受けた新2000系
- 2047F
- 2055F
- 2069F
- 2071F
- 2075F
- 2077F
- 2079F
- 2081F
- 2091F
- 2093F
支線に残る新101系ワンマン車の今後
西武鉄道における最後の3ドアである新101系。2022年5月現在、4両編成7本が活躍を続けています。
(狭山線:3編成 多摩川線:4編成)
多摩川線はワンマン運転を行う独立した線区
西武多摩川線は武蔵境駅を起点とする8.0kmの路線。新101系4本で運用されています。
全時間帯・全区間でワンマン運転を行う線区であり、歴代の車両もワンマン対応の車両が入線しています。(1996年4月~)
この関係から、ワンマン対応車両の導入が不可欠ですが、新101系の後継となるような車両運用は現在見られません。
このため、2022年度は現状を維持するものと思われます。
しかし、2023年度以降は「サステナ車両」導入があるかもしれない路線の一つです。
多摩川線と狭山線の車両は一体的に運用されている
多摩川線では大規模な検査を行う設備を持たないため、狭山線で運用される新101系と定期的に車両交換を行っています。
2022年度内については、多摩川線の甲種輸送も通常通り行われるものと見られます。
甲種輸送で牽引役を務める263Fも1980年・1982年製造
普段は狭山線の運用に就く新101系の263Fですが、甲種輸送の際には牽引役を務めます。
しかし、こちらも経年の面では既に40年選手。
263Fは西武線唯一の牽引役という特別な事情もあり、どのような形で置き換えるのかは想像もつかない現状があります。
打開策は、JRの機関車が新秋津から西武線内に入り、小手指まで牽引する方法でしょうか。
しかし、いろいろとハードルは高そうです。
西武鉄道の車両の現状と今後の車両運用を予想してみた感想
西武線の車両の現状と予想について書きました。
- 2022年度は40000系30両が導入される
- 古い車両は70両が廃車される予定となっている
- 多摩川線・狭山線新101系の2022年度廃車はなさそうである
- 本線系の2000系から廃車が加速する見込みであり、2000系の追加増備車や新2000系の更新車は最後まで残りそうである
ということが分かりました。
他にも、廃車発生品を再利用している4000系や10000系の足回りも気になるところです。
※記事内で車両の竣工日を一覧表でまとめましたが、細かい仕様などについては追いきれていません。参考レベルということでご容赦ください。
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