西武鉄道では2022年5月から2023年3月まで、創立110周年を記念した各種イベントを実施します。
110年分の歴史を紐解いてみると、会社の歴史より古い路線を持つということが分かったので、同社の歴史をサクッと解説してみます。

西武鉄道創立110周年と、その歴史・概要・合併の系譜など
創立110周年を迎えた西武鉄道は、東京と埼玉に路線網を持つ関東の大手私鉄。
会社創立の1912年から1940年代にかけては、複数回の合併を経験した会社でもあります。
現在の西武鉄道に至るまで存在していた会社の一覧
- 川越鉄道
- 川越馬車鉄道
- 川越電灯
- 川越電気鉄道
- 武蔵水電
- 西武軌道
- 帝国電灯
- 西武鉄道(初代・旧)
- 多摩鉄道
- 武蔵野鉄道
- 多摩湖鉄道
- 西武農業鉄道
こちらが、現在の西武鉄道に至るまでに存在した会社名の一覧。この中で注目したいのが、武蔵野鉄道です。
武蔵野鉄道の創立は明治45年、1912年の5月7日でした。
(大安の火曜日だったようです)
ひと言では語りつくせぬ、複雑な歴史を持つ西武鉄道ですが、「池袋線を開業させた武蔵野鉄道の創立日を西武鉄道の会社創立日」としています。
池袋線・武蔵野鉄道
1912年…池袋~吾野を持つこととなる武蔵野鉄道が創立
新宿線・西武鉄道(初代・旧)
1892年…国分寺~本川越間や東村山~高田馬場間を持つこととなる川越鉄道が創立
1922年…川越鉄道が西武鉄道(初代・旧)に社名変更
◇
1945年…武蔵野鉄道と西武鉄道(初代・旧)が合併して「西武農業鉄道」となる
1946年…「西武鉄道」に社名を変更する
↓
現在に至る
会社より、路線の歴史の方が古い逆転現象
2022年に西武鉄道は創立110周年を迎えましたが、川越鉄道をルーツとする「国分寺~本川越間」は開業から110年以上経過していることがポイント。

このため、「西武鉄道創立110周年」より数字の大きい「小江戸川越鉄道開設111周年」を記念した電車が、2006年に走行しています。

2015年には「120周年」を記念する電車も。
複数回の会社合併を繰り返した結果、会社創立日より路線の歴史の方が古いという逆転現象が一部の線区で起こっているのです。
武蔵野鉄道の創立日を、現行西武鉄道の創立日とした理由
国分寺から本川越を開業させた川越鉄道(のちの初代・旧西武鉄道)がもっとも古い歴史を持つ会社であることは紹介した通りです。
川越鉄道(→初代・旧西武鉄道)より歴史の浅い武蔵野鉄道の創立日が、なぜ現行の西武鉄道の創立日に採用されたのでしょうか。

これは、会社合併の経緯にあるところで「武蔵野鉄道が、初代西武鉄道を吸収して、西武農業鉄道になった」から。
会社合併にあたって、「吸収する側」の武蔵野鉄道の創立日が活かされたことは当然のことですが、「吸収される側」の西武の文字が社名に残ったことは特筆されます。
これらの時系列や背景を理解すると、今回の「西武鉄道の創立110周年イベント」に対する趣味的な理解も、より深まるところです。
西武鉄道設立110周年の歴史、簡単なまとめ
- 西武鉄道のルーツとなる会社は、合併を繰り返した歴史がある
- 最終的な合併で生き残ったのは、もともと池袋~吾野間を持っていた武蔵野鉄道という会社
- 現行の西武鉄道の創立日は、池袋線をルーツとする「武蔵野鉄道の創立日」としている
西武鉄道創立110周年記念イベント一覧
西武鉄道創立110周年にあたり、2022年5月から2023年3月にかけて各種イベントが実施されました。
西武鉄道創立110周年イベントに関する記事を他にも書いています。
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