2007/11/28 回生電力貯蔵装置稼働に伴う試運転【西武秩父線】

吾野変電所と正丸変電所において「回生電力貯蔵装置」が稼働を始めるにあたり
西武秩父線に試運転電車が運転されました。

「回生電力吸収装置」とは

回生電力吸収装置と、回生ブレーキの要約

回生電力吸収装置は、回生ブレーキを搭載する車両において
減速時に発生した電力を吸収・蓄積するための装置です。
飯能以遠では、吾野と正丸の各変電所に設けられています。

回生ブレーキ非搭載の4000系
回生ブレーキを搭載する20000系

回生ブレーキと呼ばれる仕組みは、
減速する電車に発生する回生電力(発電)と、
加速する電車が利用する電力消費(受電)の双方が、同時に存在することで成立します。

飯能以遠での回生ブレーキ事情について

運転頻度の少ない飯能以遠の山岳区間では、
この条件を都度満たす事は困難なため、
「加速する電車」の代わりに、回生電力吸収装置(受電)が設けられることとなりました。


2007年当時まで、飯能以遠の山岳区間には、
定期的な回生ブレーキ搭載車(新2000系や20000系等)の入線は無く、
回生ブレーキ非搭載の「10000系・4000系・新101系・301系」が主な運行車両でした。

西武秩父へ向かう101系低運車による快速急行1001電車

そのため、回生ブレーキに対応した設備を導入することで
これらの旧型車両を引退させ、新型電車の入線が可能となるものでした。


回生失効に備え、ブレーキ力を確保する

この回生電力吸収装置では
いわゆる「回生失効」について対策が図られているところであります。

鉄道の電気車における回生失効(Wikipedia)

  • 回生ブレーキ搭載車の入線は、2020年現在は当たり前の光景となりましたが
    2007年前後までは、抵抗制御車のみが入線する印象が非常に強いものでした。


2007年までの回生ブレーキ車入線実績

イベントや秩父夜祭などの臨時ダイヤでは
回生ブレーキ搭載車の入線実績があります。

各種試運転電車も含めると、そのバリエーションは多岐に渡るものです。

2005/10/2 20158F
2006/12/3 2089F
2007/10/6 20151F
    横瀬イベントでの直通臨時で4ドアが入線する際には、
    年に一度ともいえるような、非日常感があったものです。


西武秩父線を快走するLaviewも回生ブレーキ搭載車


本記事で紹介する「回生電力吸収装置」は2007年12月3日に稼働を開始しており
以来、西武秩父線を走行する電車の安定走行を支え続けています。


  • 新型特急Laviewや40000系をはじめとする回生ブレーキ搭載車が、頻繁に行き来する現在の西武秩父線。
    その裏側には、変電所内の「回生電力吸収装置」の活躍があります。



関連リンク

電気二重層キャパシタを用いら地上用電力貯蔵装置の開発[PDFリンクファイル]
※西武鉄道における実用化 として記載

みんてつだより 西武鉄道【環境配慮型蓄電装置】
※回生ブレーキについての紹介も


回生電力貯蔵装置稼働に伴う試運転【2075F・20158F】

撮影地:東吾野~吾野間

4013F
2075F試運転

2007年12月3日の回生電力貯蔵装置の本格稼働に先立って、
西武秩父線に試運転電車が運転されました。

1本目は新2000系の2075Fが充当。
吾野手前の定番撮影ポイントを、赤文字の試運転表示で通過します。

撮影地:吾野駅西方の側道

2075F試運転

下り試運転電車の折り返しを、吾野駅で待ち構えることにしました。

ちょうど吾野駅を出て一つ目の踏切付近には
色づいた木があり、これと一緒に写真を撮ることにしたようです。

上り試運転電車は吾野3番に入線。
数本の営業電車を待避したようです。

  • NRA10000系の、上りちちぶ号を待避する様子も見られました。



撮影地:吾野駅構内

吾野駅のホーム上の雰囲気も閑散としています。
他の撮影者はおろか、乗客の数もまばらです。

背景の色づいた木々を見ていると、冬に向かう少し肌寒い空気感を
覚えているはずもないのに思い出してしまいます。

撮影地:吾野~西吾野間

4009F
4005F

4001F

吾野と西吾野の間にある、編成を見下ろせる撮影ポイントへ。
数本の4000系を撮影しています。

52席の至福へ改造前の4009Fもやってきています。

20158F試運転

次にやってきたのはNRA10000系と、20000系の試運転電車でした。

  • 新2000系の試運転に引き続き、20000系の試運転電車が西武秩父線を走ります。 

撮影地:西吾野駅構内

20158F試運転

折り返しの上り試運転を西吾野にて。

クハ20058号車は、乗務員室越しの客用扉に
丸型の扉開閉注意ステッカーが見えます。

  • 西吾野の雰囲気は、十数年変化していないのではないでしょうか。
    貨物用の側線撤去が、最後の変化のようにも思います。


この西吾野での撮影を持って西武秩父線を離れました。

当日の他の写真から

撮影地:改装前の所沢駅と3000系3009F

3009F

20000系の試運転を撮影後は帰宅の途につきましたが
途中の所沢では、3ドア8連の上り急行を撮影しています。

この当時でも、3000系の8連急行は
なかなか見かけなかった光景のようにも思います。

秩父方面から上り電車で3番ホームに到着して、
わざわざ4番5番ホームに渡ってることからも
一応は狙いを定めて撮影したような、そんな記憶があります。

3009Fの方転について

小川を出発する方転列車
6連化された3009F

紹介した3009Fの晩年は、方転の上、6連化。
近江鉄道へ譲渡されています。

3000系では3007Fも近江鉄道へ譲渡されていますが、
こちらは2020年8月より300形301Fとして営業運行を開始しています。

回生電力貯蔵装置稼働に伴う試運転【2075F・20158F】のまとめ

  • 吾野変電所と正丸変電所における「回生電力貯蔵装置」稼働に伴い、試運転電車が運転された
  • 2007/11/28の試運転に充当された電車は新2000系2075Fと、20000系20158Fだった
  • 当該の試運転は連日行われており、本格稼働を開始する2007年12月3日の前日、12月2日まで運転された
  • 西武秩父線での試運転は、2008年3月2日の深夜にも行われている


今なら最大10,000ポイント還元キャンペーンも実施中!

今なら最大10,000ポイント還元キャンペーンも実施中!

東京西北部から埼玉西南部にかけて、日本の大手私鉄としては5番目に長い路線網をもつ西武鉄道。その歩みは川越鉄道の開業から武蔵野鉄道の開業、旧西武鉄道の成立に多摩鉄道の買収合併、多摩湖をめぐる鉄道の盛衰を経るなど複雑多岐にわたる路線の変遷がありました。本書ではそれら西武の一時代を築いた名車両を池袋線・新宿線を中心にご紹介します。(2020/11/20発売)
秩父線を活性化させるため、「52席の至福」というレストラン電車を導入するだけでなく、自社の看板列車となるニューレッドアローの置き換えとして、新型特急「Laview」を導入するなど、行楽需要の取り込みを模索するようになった西武鉄道。首都圏という巨大な通勤・通学需要が見込める環境にはあるが、秩父観光や西武ドーム・西武園遊園地などへの行楽客の輸送にも取り組む西武鉄道の事例を取り上げ、今後の鉄道会社の経営の在り方を考える!!(2020/12/7発売)


関連記事

西武秩父線内での試運転の記事を2つ紹介します。

Follow me!

この記事を書いた人

SSK
SSK【西武線に対する趣味的理解が深まるブログをお届けします】
20年以上に渡り、西武鉄道の写真を趣味で撮影する東京生まれの埼玉県民。
西武線の撮影実績(写真在庫)は10万枚以上。
ホームページ・ブログ運営は15年以上。
子どもと電車を眺めているのが最近の専らです。詳細なプロフィールはこちら