2008年3月、E31形電気機関車に代わる新たな牽引用車両として、新101系を改造した263Fが登場しました。
それまでの牽引専用の機関車から変わって、通勤電車と兼用となる263Fの登場は大きな話題となりました。
早いものでデビューから10年以上が経過した263F、当時の記憶も遠くなりつつある昨今、今一度263Fの動静を振り返ってみます。
- 2つの編成をどのように組み替えたのか
- 牽引車としてのデビューまでどのような道のりがあったのか
このような疑問を解決するような内容といたしました。
※当時はまだ鉄道ファンでは無かった方にも、時系列で無理なく追えるような記事構成としております。
西武の牽引車263F こうして生まれ変わりました 前編
西武の牽引車263F こうして生まれ変わりました 中編
西武の牽引車263F こうして生まれ変わりました 後編
2010/2/15 263F不定期回送 南入曽→小手指
登場から約2年を迎えた #263F でしたが、ついに動きが出始めました。
2003年以降、中央線高架化(武蔵境駅渡り線使用不可)により多摩川線の車両交換は中断されていたところ、2009年12月の高架化完了と渡り線の使用再開により、多摩川線の車両交換が再開される運びとなりました。
当時の時系列を簡潔に箇条書きにしつつ、当時の心象を振り返ります。
- 2008/3 263F出場(E31形は検査を受けずに廃車っぽい?)
- 2009/5 20000系牽引試運転開始(約1年経ったけど、いよいよ始まりそう)
- 2009/7 2077F牽引試運転(あれ、デビューしないの?まだ試運転?)
- 2009/8 E32号機検査実施、単機試運転(!?!?!?)
- 2009/9 E34号機検査実施、単機試運転(263Fデビューはしばらく先か??)
- 2010/2 247F牽引試運転(流石に263Fがデビューしそうな雰囲気???)
- 2010/3 247F・217F交換の多摩川線甲種で263F牽引デビュー(やっとデビューできました)
- 2010/3 E31形電気機関車、廃車(おつかれさまでした)
263Fの試運転は順を追って進められているところでしたが、出場から1年半後の2009年9月にかけてE31形電気機関車の検査が実施され、単機試運転が運転されています。
しかし、E31形は検査の半年後には廃車され全機が引退しています。
置き換え対象であるE31形が検査を通過しながら約半年で廃車されたことも勿論、牽引車デビューまで2年を要している状況を鑑みると、263Fの車両運用は当初の予定より遅れていたのかもしれません。
◇
余談ですが、冒頭に紹介した小手指駅に停車する263Fの自連の姿は、いま見てみると甲種仕様の日常的な写真です。
しかし、この日の記録は、この1枚のみ。
わざわざこの1枚の為に駅まで…!?と思ってしまいますが、当時はそれほどの珍しい姿だったことを思い出します。
本当に何気ない日常の写真ですが、いよいよ263Fが動き出すワクワク感?がありました。
2010/2/23 E31形-247F-263Fで組成される試運転編成
多摩川線甲種に伴う263Fの小手指送り込みは、2月15日の運転でしたが、多摩川線甲種の設定は3月6日でした。
約3週間前の送り込みとなっており、流石に気が早いのでは?と思うところです。
(そもそも”甲種の為に263Fを送り込む”こと自体が初めてだったので、当時はあまり違和感はありませんでした。)
それもそのはずで、この3週間の特定日の日中において、JR連絡線で試運転が行われています。
(カラフルな編成が走行する貴重なシーンでしたが、記録できずに終えてしまいました。)
こちらも時系列で振り返ると、下記のような流れとなります。
- 2/15 263F小手指車両基地送り込み
- 2/23 「E31重連-247F」で南入曽→小手指で多摩川線甲種送り込み
- 2/26・27 「E31重連-247F-263F」で所沢~新秋津のJR連絡線を試運転
- 3/6 本線→多摩川線へ247F甲種(263F牽引)
- 3/7 多摩川線→本線へ217F甲種(263F牽引)
- 3/28 E31形さよならイベント
また、2010年3月の多摩川線甲種再開は、幾つもトピックスを盛り込んでいます。
- 約7年ぶりの多摩川線甲種輸送再開
- 甲種の送り込みがE31牽引、本運転が263F牽引
- 多摩川線の101系低運車の廃車開始
目まぐるしい動きであったことが、容易に想像できます。
2010/3/6・7 多摩川線車両交換 甲種輸送(263F甲種初牽引)
2010年3月、263F牽引による甲種輸送がはじめて運転されました。
2日に渡って行われたJR連絡線の試運転についても無事終えたようで、本当に長かった2年を経まして、満を持しての甲種デビューとなりました。
3/6に247Fを新秋津まで送り届け、翌3/7には217Fを小手指まで牽引しています。
101系と新101系のデコボコした連結面は2004年以来、約6年ぶりに見られた姿でした。
◇
この輸送を皮切りに、263Fは多摩湖線運用(2021年1月まで)と狭山線運用(2021年2月以降)の傍ら甲種輸送の牽引役を担い続けています。
30000系甲種輸送、新2000系東急車輌入場、40000系、001系甲種輸送…9000系4両化等、多くの西武電車と連結する姿がこれまでに見られました。
30000系甲種輸送は、牽引車両交代の過渡期にあったため、西武線内の牽引は以下の通り運転されています。
- E31形牽引:38101F~38107F、32101F~32103F
- 263F牽引:38108F~38118F、32104F~32106F、30101F~30106F
新2000系のバリアフリー更新もE31形牽引の印象が強いのですが、晩年の数編成は263Fが牽引しています。
「新2000系顔」の甲種となると、どうしても9000系V化甲種を思い出してしまいますが、こちらは全てE31形が牽いています。
2019年から2021年にかけては、多摩湖線用に4両化された9000系の牽引役を務める姿も見られました。
牽引車としてのデビューから10年以上が経過した263Fですが、そろそろ後継の車両も気になってくる頃合いになってきました。
元となる279Fは1982年12月製造、255Fは1980年6月製造と、2021年現在で登場から約40年の月日が経過しています。
新しいELの導入を熱望するところですが、263Fと同様に電車兼用が大本命でしょうか。
小田急方式でJR電機乗り入れも趣味的には期待してしまいます。
◇
以上、西武の牽引車263Fについての紹介でした。
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