西武線の特急(ラビュー・ニューレッドアロー号)について、マニア目線で紹介します。
2022年現在の特急電車は、「池袋線は新型のラビュー・新宿線は旧型のニューレッドアロー号」という配置です。はたして新宿線に、ラビューが導入される日は訪れるのでしょうか?西武線の特急の現状を含めて解説します。
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西武専門の鉄道マニアです。
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2022年の特急電車(ラビュー・ニューレッドアロー号)の現状
西武鉄道には2つの主要路線があります。池袋から西武秩父の池袋線系統と、西武新宿から本川越の新宿線系統です。それぞれの線区では、全席指定の有料特急電車が、毎時1~2本ほど上下線で運行されています。
路線図に目を移すと、池袋駅を基点とするオレンジ色の線が、池袋線系統。
西武新宿駅を起点とする水色の線が、新宿線系統。
それぞれの線区を走行する特急電車の愛称と使用系列は、以下のように区分けされます。
- 池袋線系統→001系ラビュー(2019年デビュー)
「ちちぶ」(池袋〜西武秩父)
「むさし」(池袋〜飯能)
「ドーム」(池袋〜西武球場前)※野球開催日のみ - 新宿線系統→10000系ニューレッドアロー号(1993年デビュー)
「小江戸」(西武新宿〜本川越)
ラビュー(001系)は8両7編成が池袋線系統で運用
ラビューは2019年3月にデビューした西武鉄道の3代目特急電車です。
それまで「ちちぶ」や「むさし」などで活躍していた10000系ニューレッドアロー号7本を、約1年かけて置き換えました。
ラビューは8両7編成が導入され、全ての編成が池袋線系統で「ちちぶ」「むさし」などの運用に就いています。
ニューレッドアロー号を置き換えた2020年3月以降、池袋線系統の特急電車は全てラビューで運行されるようになりました。
2020/3/13 西武池袋線・西武秩父線10000系(NRA) 定期運行最終日の夜
過去には少しだけ新宿線を走行したラビュー
池袋線系統で運用されるラビューですが、稀に新宿線へ顔を覗かせることがあります。
2019年4月27日から5月6日にかけて、新宿線の本川越と池袋線の飯能を結ぶ、臨時の「むさし」と「小江戸」で営業運用に入りました。
2019年4月26日〜5月6日運行
001系ラビュー使用の臨時特急電車(新宿線での初営業)
- 本川越13:05→飯能13:51「むさし90号」
- 飯能14:23→本川越15:06「小江戸92号」
営業開始前には、試運転電車として西武新宿駅へ入線した実績もあります。
イベントなどでは南入曽車両基地へ回送されることもあり、その際は、ひときわ注目を集める存在となります。
ニューレッドアロー号(10000系)は7両5編成が新宿線系統で運用
ニューレッドアロー号は1993年から製造された西武鉄道の2代目特急電車です。7両12編成が製造されました。
新宿線の定期特急電車の運行開始と、先代となる初代特急電車5000系の後継として登場しています。
10000系による初代特急電車5000系の置き換えは1995年10月に完了しており、ラビューが登場するまでの概ね23年の間は、西武線唯一の特急車両でした。
余談ながら、10000系導入に伴い置き換え対象となった初代特急電車5000系は、一部の編成が富山地鉄へ譲渡され、2022年現在も現役です。
001系ラビューによる置き換えで10000系は7編成が廃車→譲渡や保存も
2019年3月のラビュー運行開始以降は、段階的に10000系の廃車が開始されました。
10101F〜10112Fの全12編成のうち、10101F〜10107Fまでが廃車され、その内の一部は横瀬車両基地での保存や、富山地鉄へ譲渡されています。
2022年現在の南入曽車両基地には、新宿線の小江戸号用として10108F〜10112Fの7両5編成が所属しています。
2020/10/10 西武10000系NRA 富山地方鉄道へ甲種輸送
ラビュー導入以降は行われていない線区を跨いだ車両の貸し借り
ラビューが登場する以前、池袋線と新宿線の特急電車がすべて10000系で運用されていた頃は、線区をまたいだ車両の貸し借りが行われることがありました。
毎年12月3日の秩父夜祭臨時ダイヤの際では、新宿線の10000系1編成を池袋線に貸し出すことが通例となっており、これが注目されることもありました。
2022年は、秩父夜祭が3年ぶりに開催されましたが、新宿線から特急電車を借り入れることはありませんでした。
(※ラビュー統一以降の2020年と2021年は、新型コロナウイルスの影響もあり、臨時運行は無し。)
今後の人出の回復次第では、線区をまたいだ特急電車の貸し借りが行われるかもしれませんが、望みは薄いのが現状です。
西武秩父線・池袋線 秩父夜祭臨時電車の様子【2005年からの振り返り】
新宿線の特急電車の今後について
ニューレッドアロー号10000系で運行される小江戸号は1993年12月にデビューしており、2023年で運行開始30周年を迎えます。
旧来の走行機器を装備する10000系は、「爆音特急」や「豪快な走行音」などと、ジョークを交えつつ親しまれることもありますが、一般利用者目線ではサービスアップが望まれるところです。
なお、西武鉄道の特急料金は、池袋線系統と新宿線系統で同様の料金体系です。このため、利用者目線では001系ラビューに乗車したいと思う方が大多数であることでしょう。001系ラビューは、車内の静音性や乗り心地、設備など、どれをとっても10000系より一枚上手です。
デビュー30周年を迎える10000系特急電車、今後どのように運用されるのか注目されます。
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新宿線の終着「本川越駅」の特急ホーム、7両しか対応していない問題
では、新宿線に新型特急のラビューが導入されるかというと、なかなか簡単ではなさそうです。
こちらは西武新宿線の終点である本川越駅です。2面3線の頭端式ホームを備えます。
この内、両端の1番・4番ホームは10両対応ですが、特急の停車する中央の2番・3番ホームについては有効長(ホームの長さ)が7両までしかありません。
もし、10000系を001系ラビューで置き換える場合、ラビューは8両編成のため、ホーム有効長がネックとなります。
新宿線に8両編成のラビューを導入しようとしても、本川越の特急ホームは7両までしか対応していない。
本川越駅の2番・3番ホーム、2022年現在の様子
しかし、本川越駅に訪れてみると意外なことに気づきました。
特急ホームである2番ホームと3番ホームの頭上を眺めると、その先を延伸できるように連続した切り欠きがあることに気づきます。
こちらの天井の切り欠き、終端から約20メートルほどは続いており、将来的に延伸する可能性を見越していたのかもしれません。
左手に中線の3番ホーム、右手に4番ホームを臨みます。
4番ホームは10両対応のため、一般電車は特急の停止位置より3両ほど奥まった位置に停車しています。
中線の更に奥には2階改札へ通ずる階段もあるため、もしホーム延伸が実現したとしても、8両以上の有効長を確保することは難しそうです。
本川越駅特急ホームまとめ
- 新宿線の終着駅である本川越駅の中線は、特急ホームとして使用されている
- 有効長は7両までで、8両以上の編成は入線できない
- 新宿線にラビュー(8両)を導入する場合は、本川越駅の特急ホームを延伸する必要がある
- 本川越駅の中線の終端天井には、線路の延長を見越したような切り欠きがある
結論:新宿線にラビューが導入される可能性は、2022年現在では極めて低い。→ただし、本川越駅はホームを延ばせそうな作りなので望みはゼロではない。
西武線の特急の現状や、ラビューの新宿線導入の可能性についてまとめてみた感想
西武線の特急や、本川越駅のホームについて書きました。
- 西武鉄道では、池袋線系統と新宿線系統で特急電車を運転している
- 池袋線系統では001系ラビューが「ちちぶ」「むさし」などで走行している
- 新宿線系統では10000系ニューレッドアロー号が「小江戸」として走行している
- 新宿線にラビューが導入される可能性は低いが、本川越駅の特急ホームは、延伸を見越したような構造にも見える
ということが分かりました。
サステナ車両導入に伴い、黄色い電車の終焉もそう遠くない未来であることが判明しつつあります。
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10000系電車についても、そう遠くない未来に、何らかの動きが出るのかもしれません。