2010年まで西武鉄道で活躍したE31形電気機関車の活躍を紹介しています。
その中でも、武蔵丘車両基地を出発して保谷駅を着駅とする、通称「保谷工臨」の紹介となります。
(※2008年6月まで見られたE31形電気機関車牽引による貨物列車(工事臨時列車=工臨)です。)
保谷工臨の武蔵丘車両基地出発は22:50頃でした。
- 編成は機関車のE31形と、貨車であるホキ81形とトム301形によって組成され、
機関車は、往路復路共にPP(プッシュプル)による牽引となります
作業内容としましては、武蔵丘車両基地の出発前までにホキに新しいバラスト(敷石)を積載し、保線を必要とする箇所においてホキに積んだバラストを線路に補充します。
それと同時に、古くなったバラストをトムに載せて持ち帰る、というものでした。
保谷駅までは電気機関車E31形が牽引し、保線箇所まではモーターカーがホキとトムを、それぞれ牽引する方式でありました。
- 2007年の保谷工臨では、E31形は現場に向かうことは無く
夜半の保線作業中は、保谷構内にて留置されます。
- 保谷工臨では、後補機の機関車のパンタの上げ方が通常と異なる点が特筆されます。
保谷構内における留置位置の架線終端の関係から、下り1871列車の飯能までは
進行方向前寄りのパンタを上げ、後寄りのパンタを下げとして運行されていました。
復路は、保谷を4:30頃に出発して武蔵丘車両基地を目指します。
往路とは異なり、ホキの積み荷は空となり、トムには古くなったバラストが積まれています。
武蔵丘車両基地到着後は日中帯にバラストの積み下ろしを行い、次の運転に備えます。
運転日は、基本的に往路が月・水・金の終電間際と、
復路が火・木・土の始発前、というパターンでした。
一度運転されると、数週間から2~3カ月程度にかけて設定されることもしばしば見られるのが、保谷工臨や上石神井工臨の特徴でもありました。
保谷工臨1871レ その4 *西武時代のE31形
撮影地:西武池袋線 武蔵丘車両基地【保谷工臨西武E31形PP貨物】
雨の舞う武蔵丘車両基地。
保谷へ向かう工臨列車は、入換を終えて一つ目の停車駅である飯能に出発するところでした。
E31形の背後には #291F のクモハ292の車号が見えています。
話は逸れますが、291Fの話題を少々。
地方私鉄には使い勝手の良い2連でしたが、291Fについては1両ずつ譲渡先が異なります。
近江鉄道へ向かったのがクモハ291(→部品取り後に解体)、伊豆箱根鉄道へ向かったのがクモハ292(→伊豆箱根モハ1302)となっています。
近江向けの車は、もともとが部品取りを目的とした譲渡だったようで、このような様相で野ざらしの状態が続いていました。
2017年12月には一部の機関車とともに解体され、姿を消したようです。
一方のクモハ292号車は、伊豆箱根鉄道1300系1302Fの三島方先頭車モハ1302として、2021年現在も活躍が続いています。
撮影地:西武池袋線 飯能 *保谷工臨西武E31形PP貨物
飯能1番に到着した保谷工臨を前後から臨みます。
ここ、飯能では、おなじみとなったスイッチバック。
池袋線の工臨らしいプッシュプル編成ですので、進行方向を変えるのも容易でした。
その昔はE851などの貨物用に機回し線も存在していた飯能ですが、これをE31形が使用した機会はあるのでしょうか。
出典:国土地理院ウェブサイト (https://mapps.gsi.go.jp/contentsImageDisplay.do?specificationId=1026941&isDetail=true)
撮影地:西武池袋線 仏子 *保谷工臨西武E31形PP貨物
仏子の出発は23時40分頃でした。
仏子を出ると、ひばりヶ丘で停車し、終点の保谷へ到着します。
この日の保線作業は雨の中ということもあり、いつも以上に苦労が多かったのではないかと想像するところであります。
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