2021年12月26日、三重県の三岐鉄道保々車両区において個人主催による貸切撮影会が実施されました。
当日の主役は、2019年に西武の赤電カラーに復刻された三岐801系803Fでした。
今回の撮影会では、西武赤電カラーに復刻された三岐803Fの姿を、更にレトロな装いにする加工を行いました。
※三岐鉄道株式会社様に企画を事前に説明し、許諾を受けています。
幹事さんよりお声がけを頂き、事前の作業スタッフとして参加をしてまいりましたので、その模様をお届けいたします。
間近で赤電を装飾する様子にはじまり、撮影会の模様を紹介します。
三岐801系(元西武701系)の特別装飾について
今回の貸切撮影会では、赤電カラーに復刻された #三岐803F を西武701系登場当初の装いに可能な限り復元しました。
装飾の内容は以下の通りです。
- 布製の行き先幕を再現したレプリカ幕の挿入
- 行き先幕表示部分と全面窓回りのHゴム白色化
- 撤去された通風口の再現
- 白熱灯ヘッドライトの緑がかった色味の再現
- 黄電連をグレー電連に
- 登場時には存在しなかった連結器脇の保護板を黒くマスキング
差し込み式の行き先幕は、幹事手作りによる当時の字体を再現したものが用意されました。
「西」の表記の仕方に特徴があり、一気に時間が巻き戻ります。
表示窓部分のHゴムについては、近似色のテープを上から貼付することで白Hゴムを再現しています。
白Hゴムを再現するテープ貼付については、直線部分は比較的簡単に施工できますが、曲線部分の処理は非常に難儀しました。
長いテープに切れ込みを入れる処理はうまくいかず、数センチのサイズに切ったテープを切り貼りして、見た目での違和感を最小限に食い止めました。
ヘッドライトについては、シールドビーム化される前の白熱灯時代の雰囲気を再現しました。
白熱灯時代のヘッドライトは緑がかった見た目になるのが特徴で、近似色のフィルムを貼付することで再現しています。
701系登場時には存在しなかった連結器脇の保護板については、黒のマスキングを施すことで存在を目立たなくしています。
この手法は、以前主催した上信電鉄の貸切撮影会で、運転室の機器を隠す際にも効果を発揮したものです。
こういったイベントにおいて何かを目立たなくさせるには、とりあえず黒い紙を貼付すればいいのでは?という気もしてきます。
見た目にも特徴的である黄色の電連カバーは、登場時のグレー電連を再現するべく画用紙を貼付しています。
電連カバーの形状は、側面は細長い弓状の曲面、正面から見るとゆるやかな台形の形をしており、実は複雑な構造をしています。
あらかじめ近似色であるグレーの画用紙を用意しており、現場合わせで丁寧にカットしながら貼付する作業を行っています。
黄電連のテープは↓これを使いました。
1週間前には貸切電車と撮影会で活躍した805Fもピット内に入ってきました。
2週連続で、こうして本物の電車に趣味として携わらせていただけるのは、幸運以外の何ものでもありません。
三岐鉄道さま、各幹事さま、誠にありがとうございます。
1週間ほど前にも体験した、黄色と赤に挟まれた工場内の雰囲気はそのままです。
今回は事前の作業中にこの光景を見ることが出来たので、作業の合間に落ち着いて見学することが出来ました。
当時の布幕を再現した方向幕には、適度なウェザリングを施してあり、この質感もバッチリでした。
なお、我々が作業をしていると、三岐鉄道の社員さんが気を利かせてくださり、屋根からおでこの部分にかけて綺麗に拭き掃除をしてくださいました。
当日は、四日市周辺も大雪による高速道路の通行止めなど、荒れ模様の天気でした。
作業中のピット内も凍えるような環境下でしたが、これに負けじと三岐鉄道の社員さん方も終始気を遣ってくださいました。
(ストーブと照明の手配、高所作業台の移動も非常に助かりました。ありがとうございます。)
10時から12時の2時間で事前の装飾を完了する段取りでしたが、予定より少し早い11時45分頃には装飾を終えることが出来ました。
我々スタッフ側も貸切イベントの催行や、電車の装飾を何度か経験していることも大きかったように思います。
そして何より三岐鉄道のスタッフさんのご協力なしに、このようなスピーディーな作業完了は実現しえなかった事も改めて申し添えさせて頂きます。
三岐鉄道803F貸切撮影会の様子
午後の部、撮影会は2時間ほどの実施となりました。
この翌日、12月27日は大雪の影響で三岐線は始発から保々と西藤原の間で運転を見合わせてしまいました。
気象条件だけは操ることもできませんが、電車の運行が乱れている中でこのようなイベントの催行は難しかったことでしょう。
1日ずれていたらと思うと、ヒヤリとしてしまいます。
一見すると、出庫前の準急西武新宿行きの風貌となりました。
とかくヘッドライトを点灯することの多い撮影会ですが、このようにテールを灯した姿も味があって落ち着いています。
2000系電車においても1980年代後半頃?までは見られた白Hゴムですが、さすがに実際の姿を見た経験はありませんでした。
写真でしか見たことのなかった白Hゴムの西武電車が、まさに目の前に存在することに、驚きの感情が湧いてきます。
白Hゴムを再現された三岐803Fは短時間ながら、ピットの外にも移動しました。
外の天気は「大雪」という言葉が当てはまるほどの、見事な白銀の世界。
グレーの電連などは画用紙を貼付しているだけなので、水濡れの耐久性が非常に気にかかりながらの撮影でした。
午前の作業中にピットへ顔をのぞかせていた三岐805Fでしたが、午後には庫外へ移動しています。
雪景色による白と黄色の淡いコントラストが、非常に美しく映えていました。
手旗の誘導によりピット内へ803Fが戻ってきました。
外に出ていたのは十数分の間でしたが、前面のピラーに雪が堆積してきており、想像以上の雪の量でした。
撮影会の後半では練馬幕に差し替えられました。
他にも、高田馬場など、過日の西武線で掲出された懐かしい幕が用意されています。
白Hゴムを再現した西藤原方の先頭車に注目が集まりますが、近鉄富田方においても行き先表示を入れ替えるなどの撮影会が実施されました。
しかしながら多量の雪が降り積もる環境下、数分でレンズが雪まみれになってしまい早々にお開きとなりました。
当日の天候については「雪が降る」というより、「雪が吹き付ける」という表現が適切だったように思います。
撮影会もお開きとなり、更に小移動を行う三岐803F。
この後は、各種装飾を原状回復することとなります。
各種装飾物は、剥離の際にノリが塗装面に残りにくいテープで貼付しています。
基本的には剥がすだけの作業になりますが、それでも塗装を傷付けないように細心の注意を払います。
2時間弱かけて行った装飾も、撤収は15分ほどで終了しました。
参加者全員で撤収作業を分担・協力したかいもあり、早々に作業を完了させることが出来ました。
令和と平成の時を越え、昭和の姿を復刻した三岐803Fの撮影会は、このように多くの方の協力を得ながら無事にイベントを終了することが出来ました。
幹事様、三岐鉄道様、参加者の皆さま、この度は楽しいひと時を誠にありがとうございました。
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